SIRC 龍谷大学 社会的孤立回復支援研究センター | Social Isolation Recovery Supports Research Center, Ryukoku University

About研究事業概要

Goals私たちの目指すもの

“つまずき”からの“たちあがり”を支援する

 ATA-net研究センターは、2019年、日本科学技術機構/社会技術研究開発センター(JST/RISTEX)からの事業受託を契機に、本学における「アディクション(嗜癖・嗜虐行動)」研究の拠点として設立され、2021年度をもって事業を終結する。(ただし、新型コロナウイルス流行のため、最終とりまとめの作業に若干の遅滞が生じたため、残りの課題と最終報告のために2022年度に限定的に事業を継続する。)同事業は「アディクションは孤立の病である」との結論に到達した。この問題を解決するために当事者、支援者および協働者による課題共有型“えんたく”という討議スキームを社会実装することを目的とする事業を行ってきた。

  上記のような現状認識と学際研究の状況を踏まえ、「社会的孤立」を中核的テーマとし、それにまつわる諸現象を調査研究するとともに、その知見を踏まえて、“つまずき”からの“立ち直り”を支援することを目的とする研究センターを新設する。

 この間、2020年に始まる環境の急激な変化の中、「社会的孤立」が新たな社会問題となっている。

   本学においても、体感的には、リモートの導入や社会的断絶のために、学生、院生、教員、職員など全構成員に戸惑いが生じ、心身や日常生活に問題を抱える人たちが増えている。近年の福祉学、心理学、社会学、犯罪学などの知見によれば、小さな“つまずき”が「孤独」をもたらし、それが区別や差別によって社会化・制度化され、「社会的孤立」として継続化・長期化・深刻化していき、最終的に多様な逸脱、非行や犯罪という形で発現する。非行少年や犯罪者という法的・社会的レッテルを剥がし、再び社会に戻ってくることは極めて難しい。

   本センターの2年間の活動期間における到達目標を、JST/RISTEXの2021年度から新たに募集を開始した「SDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム(SOLVE for SDGs)の新規枠組「社会的孤立・孤独の予防と多様な社会的ネットワークの構築」プロジェクトへの応募と採択とする。

   同時に本学を拠点として、地域社会、地方政府、中央政府、全体社会、国際社会の研究者、実務家、回復支援者、当事者と連携し、共通の課題となっている「社会的孤立」に関する最先端の理論と実践を吸収するとともに、情報通信技術(ICT)を活用した情報発信を履践していく。

   なお、学内の矯正・保護総合センター(RCRC)、犯罪学研究センター(CrimRC)、地域公共人材・政策開発リサーチセンター(LORC)、ATA-net研究センターなど先行研究センターおよび学外の立命館大学人間科学研究所、成城大学治療的司法研究センター、英国カーディフ大学、タイ国マヒドン大学などとも協力して調査研究を進める。

   本センターは、社会的孤立という現代的課題に対し、理論的・実践的・学際的(学融的)・国際的観点から、アプローチする拠点を本学に構築するものである。